新型ウイルスの免疫細胞を未感染者の約40~60%で検出
流行が始まる前の2015~2018年に米国で収集された20~66歳の保存血液20人分を調べたところ、約40~60%で新型ウイルスを認識する免疫細胞であるヘルパーT細胞を検出したという論文がcellに掲載されたので(査読後で校正前の論文)、通常の風邪のコロナウイルスで免疫を獲得していたら朗報だと思い、和訳をしました(有志によるCOVID19医療翻訳チームのサイト)。
https://covid19-jpn.com/cell0523
掲載されたCellは、信頼性の高い雑誌で、2018年のインパクトファクターは、36.216 (2019年の最新データ)とかなり高いです。
調べられた保存血液の19名はCaliforniaの方でした。
現在、世界一死亡者数が高い米国の中で、Californiaで免疫が高い人が多ければ、感染者数や死亡者数が少ないかと調べたら、そのようなことはなく、感染者数は90,588名と全米5番、死亡者数は3,688名と全米7番でした(worldometer 5/23時点)。
ただし、Californiaも広いので、Los Angelesは感染者数43,052名、死亡者数2,049名と高いですが、地域によって低いところもあります。
日本では集団免疫を獲得しているのではないかとの話もありますが、まだエビデンスが明確ではないので、免疫獲得以外で、日本の死亡者数が低い理由を検討しました。
厚生労働省で公開されていた年齢別の感染者数、死亡者数の表が見つからなくなったので、国内で一番死亡者数が多い東京都を参考にすると、5/22に公開されている第386報までの年齢別の死亡者は、20代1名、40代1名、50代7名、60代23名、70代64名、80代72名、90代44名、100歳以上1名、不明50名の合計263名です。
性別は、男性126名、女性80名、不明57名です。
若い人でもかかるととても苦しかったと報告しているので、油断はできませんが、死亡のリスクが高いのは高齢者となっています。
インフルエンザでも流行した新型の株は、翌年の冬も多いので、今年度の冬も流行の大きさは今後に依存するのでわかりませんが、COVID-19が流行した時に一律に自粛するのか、リスク等を勘案するのか、経済へのダメージも大きいことから、今から検討が必要ですね。