「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」の読み解き

8月8日(火)に定例会を開催し、「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した(ジェームズ・ブラッドワース)」の読み解きをしました。

著者が働いたアマゾン、訪問介護、コールセンター、ウーバーでの労働状況が赤裸々に書かれていました。イギリスの炭鉱の町では世界の大手企業が進出して雇用が増えるかと思ったが、正社員の仕事はなく、不安定な契約社員で、すぐに解雇される。勤務が厳しく管理をされて、待遇も悪い。最低賃金で、振り込みが遅れることもあり、生活も不安定。精神的にも余裕がなくなり、殺伐とする。

2001年米国経営学会で、20世紀でもっとも大きな影響を与えた経営管理本にテイラーの「科学的管理法」を選んだとあり、科学的管理法は経営者としては効率的ですが、労働者は機械的に働かせられるだけになったというマイナス面が示されました。

また、これまでプラス面で語られることが多かった社内の士気高揚のためのスローガンの掲示や、従業員のつながりを深めるイベントが、本書では、ストレスのある業務内容や労働条件を隠すために使われていました。

さらにインターネットなどを通じて単発な仕事を請け負うギグ・エコノミーという働き方は、自由で自立した働き方という耳障りのいい言葉の裏で、労働者の権利の(保険、手当や有給休暇等)もない。アルゴリズムに沿って働かせられる状況が生み出されていました。

最後のエピローグで、それでもイギリスは住みにくい国ではないとのくだりは日本にも当てはまる内容で、その上での結論として、誰もがいつ生活や人生が一変するかは分からないとの本書のイギリスの現状が、今後の日本の将来を暗示しているようでした。

参加者の意見交換では、そのような悲惨な状況にならないよう、診断士も行動していくことが大事であるとの意見が出ました。

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